PR

居酒屋の「春夏冬中」が気になる!読み方・意味と江戸時代から続く看板に込められた遊び心の理由

雑学

居酒屋や飲食店の入り口で、「春夏冬中」という不思議な文字を見かけたことはありませんか?

「春夏秋冬」なら知ってるけど、「春夏冬中」ってなんだろう?どう読むんだろう?と首をかしげた経験がある方も多いのではないでしょうか。

実はこの看板、ただの営業中の表示ではなく、江戸時代から続く粋な言葉遊び「判じ物」の文化が込められているんです。

「意味は分かるけど、いちいちこんな書き方をする理由って何?」という疑問にお答えするため、この記事では「春夏冬中」の読み方・意味から、なぜわざわざこんな表現を使うのか、その背景にある日本文化の魅力まで徹底解説します!

スポンサーリンク

「春夏冬中」の読み方と意味

まずは基本から見ていきましょう。「春夏冬中」、あなたは正しく読めますか?

読み方は「あきないちゅう」=営業中

「春夏冬中」の正しい読み方は、「あきないちゅう」です。

「しゅんかとうちゅう」でも「はるなつふゆなか」でもありません。初めて見た方は、まず読めないと思います。

この「あきないちゅう」は、漢字で書くと「商い中」となり、「営業中」「開店中」という意味になります。

つまり、居酒屋の入り口に「春夏冬中」と書かれた看板があったら、「今、お店は営業していますよ!どうぞお入りください!」というサインなんですね。

「秋がない」から「商い中」という言葉遊び

では、なぜ「春夏冬中」と書いて「商い中」と読むのでしょうか?

ここにトンチが隠されています。

「春夏冬」をよく見てください。四季のうち、「秋」だけが抜けていることに気づきますよね。

  • 春(はる)→ ある
  • 夏(なつ)→ ある
  • 秋(あき)→ ない!
  • 冬(ふゆ)→ ある

つまり、「秋がない」→「あきがない」→「あきない(商い)」という言葉遊びになっているわけです。

そして最後に「中」がついているので、「商い中」=「営業中」という意味になります。

とても洒落た発想ですよね!

スポンサーリンク

なぜわざわざ「春夏冬中」と書くのか?3つの理由

「営業中」や「OPEN」と普通に書けばいいのに、なぜわざわざ難解な「春夏冬中」という表現を使うのでしょうか?

その理由は大きく分けて3つあります。

理由①:江戸時代から続く「判じ物」という文化

「春夏冬中」のような表現方法は、「判じ物(はんじもの)」と呼ばれる日本の伝統的な言葉遊び文化の一つです。

判じ物とは、文字や絵の中に別の意味を隠しておいて、それを解読させる謎解きのこと。江戸時代の町民文化として大流行しました。

発祥の詳細は不明ですが、平安時代にも似たような遊びがあったことは分かっています(参照:判じ物 – Wikipedia)。ただし、庶民の娯楽として広く親しまれるようになったのは、江戸時代になってからです。

江戸時代後期には、浮世絵で描かれた「もの尽くし判じ物」が大流行しました。動物、植物、食品、地名などをテーマにした判じ絵が次々と出版され、庶民の娯楽として楽しまれたのです。

「春夏冬中」という看板は、この江戸の粋な文化を現代に受け継いでいる証なんですね。伝統を大切にしながら、ちょっとした知的好奇心をくすぐる遊び心を忘れない、そんな日本人らしさが表れています。

理由②:お客さんの目を引き、印象に残りやすい

「営業中」とストレートに書くよりも、「春夏冬中」と書いた方が圧倒的に目立ちます

道を歩いていて、この不思議な文字を見かけたら「ん?なんだこれ?」と思わず立ち止まってしまいませんか?

そして意味が分かった時には、「なるほど!面白い!」とスッキリした気持ちになります。この「疑問→解決→納得」というプロセスが、お店の印象を強く残すことにつながるんです。

また、友達との会話でも「あそこの居酒屋、春夏冬中って書いてあるんだよ」「え、なにそれ?」と話題になりやすく、自然と口コミ効果も期待できます。

看板一つで、こんなにお客さんとコミュニケーションが取れるなんて素敵ですよね。

理由③:店主の遊び心とユーモアセンスのアピール

「春夏冬中」という看板を掲げるお店は、「うちは遊び心がありますよ」「ユーモアのあるお店ですよ」というメッセージを発信しています。

堅苦しくなく、気軽に入れる雰囲気。お客さんを楽しませたいというサービス精神。こうした店主の人柄や姿勢が、看板一つから伝わってきます。

実際、「春夏冬中」の看板を掲げているお店は、居酒屋など気さくな雰囲気の飲食店が多いです。お酒を飲みながら、店主やお客さん同士で「この看板の意味、知ってる?」なんて会話が弾むこともあるでしょう。

看板が会話のきっかけになり、お店の雰囲気作りに一役買っているわけです。

「判じ物」とは?江戸時代の粋な言葉遊び文化

せっかくなので、「判じ物」という文化についてもう少し詳しく見ていきましょう。

判じ物の歴史と庶民文化

判じ物が庶民の間で広く親しまれるようになったのは江戸時代です。

江戸時代後期には、浮世絵で描かれた「もの尽くし判じ物」が大流行しました。動物、植物、食品、地名などをテーマにした判じ絵が次々と出版され、庶民の娯楽として楽しまれたのです。

これらは単なる遊びではなく、知恵比べであり、教養を示すツールでもありました。判じ物を解ける人は「粋だね」と評価され、江戸っ子の間で一目置かれる存在だったんです。

ちなみに、江戸時代の識字率は世界的に見ても非常に高く、江戸後期には男性で約43%、女性で約15%という研究結果があります。江戸の町に限れば70〜80%に達していたとも言われています(参照:江戸後期、日本は世界一の識字率を誇った!「寺子屋」が果たした大きな役割)。

寺子屋の普及により多くの庶民が読み書きを学べる環境が整っていたことが、判じ物文化の広がりを支えたと考えられます。

他にもある!面白い判じ物の例

判じ物は「春夏冬中」だけではありません。江戸時代から現代まで受け継がれている面白い例をいくつか紹介します。

「かまわぬ」

鎌(かま)+輪(わ)+ぬ(文字)で「かまわぬ(構わぬ)」と読ませる判じ物です。

江戸時代、町奴(まちやっこ)と呼ばれる若者たちが「どんなことも構うものか!」という心意気を示すために着物の柄として好んで使いました。後に歌舞伎役者の市川團十郎が舞台で使ったことで大流行し、現代でも手ぬぐいのブランド名として親しまれています。

「小鳥遊(たかなし)」

これは名字の判じ物です。「鷹がいないから小鳥が遊べる」という発想から「たかなし」と読みます。ユニークな名字として有名ですよね。

「月見里(やまなし)」

「山がないから里から月がよく見える」という意味で「やまなし」と読む名字です。風流で粋な発想に、日本人の美意識を感じます。

このように、判じ物は江戸時代の人々の知恵と遊び心が詰まった、奥深い文化なのです。

「春夏冬中」以外にもある!商売に使われる判じ物

商売の現場では、「春夏冬中」以外にも縁起を担いだ判じ物がいくつか使われています。

「春夏冬二升五合」=商い益々繁盛

「春夏冬」の後ろに「二升五合」を付けた表現もあります。

これは「あきないますますはんじょう(商い益々繁盛)」と読みます。

  • 「春夏冬」→「あきない(商い)」
  • 「二升」→「升(ます)」が2つで「ますます(益々)」
  • 「五合」→一升の半分なので「半升(はんじょう)」→「繁盛」

という仕組みです。

開店祝いの縁起物として、この言葉を書いた掛け軸や看板を飾るお店もあります。また、お酒の「益々繁盛」という銘柄も、この判じ物から来ています。内容量が4500ml(二升五合)という点もちゃんと掛けてあるんですよ。

「弓矢」=湯屋(銭湯)

江戸時代の銭湯では、「弓射る(ゆみいる)」→「湯に入る(ゆにいる)」という言葉遊びから、弓と矢の形をした看板を使う湯屋があったとされています(参照:湯屋は庶民の大事な社交場|歌舞伎美人その6 看板の秘密 | お〜風〜呂.info)。

現代の銭湯ではほとんど見かけませんが、一部の銭湯では復刻版として使われているところもあるようです。江戸の人々がいかに言葉遊びを楽しんでいたかがよく分かる例ですね。

「十三里」=焼き芋屋

焼き芋屋さんで「十三里」という看板を見たことはありませんか?

これは「栗(九里)より(四里)うまい十三里」というダジャレから来ています。

九里+四里=十三里というわけです。サツマイモは栗よりも美味しいですよ!という宣伝文句を、洒落た言葉遊びで表現したんですね。

さらに美味しさをアピールするために「十三里半」と看板を出すお店も登場したそうです。現代でも和菓子屋さんでサツマイモを使った商品に「十三里」と名付けることがあります。

「春夏冬中」の反対語は?閉店を表す言葉

「春夏冬中」が営業中を意味するなら、閉店中はどう表現するのでしょうか?

実は、「春夏冬中」の看板の裏面には、閉店を表す言葉が書かれていることが多いんです。

例えば:

  • 「準備中」
  • 「ただいま支度中」
  • 「段取り中」
  • 「仕度中」

看板をくるっと裏返すだけで、営業状態を示せる仕組みになっているんですね。とても合理的です。

なお、理屈としては「秋(あき)」と一文字だけ書いて「営業していません」という意味を表すこともできそうですが、実際にこうした看板が広く使われていたという記録は見つかりませんでした。一部ではこうした洒落もあると言われていますが、あくまで言葉遊びとしての可能性の一つと考えるのが妥当でしょう。

まとめ:看板の裏側に日本文化の奥深さがある

居酒屋の「春夏冬中」という看板には、こんなにたくさんの意味と歴史が込められていたんですね。

単なる営業中の表示ではなく、江戸時代から続く「判じ物」という粋な文化の継承であり、お客さんとのコミュニケーションツールであり、店主の遊び心の表現でもあります。

最初は「わざわざこんな書き方をしなくても…」と思うかもしれません。でも、その背景を知ると、日本人の言葉遊びの文化や、ユーモアを大切にする心が見えてきます。

次に「春夏冬中」の看板を見かけたら、ぜひその粋な遊び心を感じながら、お店の扉を開けてみてください。きっと店主との会話も弾むはずですよ!

看板一つにも、こんなに奥深い日本文化が隠されている。それを知ることで、日常の風景がもっと面白く見えてくるかもしれませんね。