2025年12月に日本で公開され、興行収入100億円突破が確実視される大ヒット作『ズートピア2』。前作から9年の時を経て帰ってきたジュディとニックの新たな冒険には、実は制作陣が仕込んだ数多くのディズニーオマージュが隠されているのをご存知でしょうか?
「ラプンツェルとレミーは見つけたけど、ピーターパンはどこにいるの?」「他にもオマージュがあるって聞いたけど、全然わからない…」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実際に、共同監督のジャレド・ブッシュはGood Housekeepingのインタビューで「当初は800ほどのアイデアがあったが、映画の邪魔になると思われるものはカットした」と明かしており、最終的に映画に残ったオマージュも相当数に上ることが分かっています。一度の鑑賞では絶対に見つけられないほど巧妙に隠されたパロディの数々を、この記事で詳しく解説していきます。
ズートピア2に隠されたディズニーオマージュの全貌
『ズートピア2』が単なる続編ではなく、ディズニー史上最大級のオマージュ作品として話題になっている理由を、まずは全体像から見ていきましょう。
制作陣が語るイースターエッグへのこだわり
Good Housekeepingの記事によると、共同監督ジャレド・ブッシュは「There’s probably 800 that didn’t make the movie that we thought would distract(映画の邪魔になると思われる800ほどのアイデアがあった)」と説明しています。これは同メディア独自のインタビューでの発言として報じられています。
最終的に映画に残ったオマージュの正確な数については明言されていませんが、観客やファンの発見報告、そして複数の映画メディアの分析を見る限り、相当な数のイースターエッグが仕込まれていることは確実です。
また、Coming Soonでのインタビューでは、ストーリー責任者のキャリー・リャオが「Pay attention to a lot of the signage. Because a lot of times they have some really fun signage in there that references other movies that we’ve done(看板に注目してください。他の映画への参照が多く仕込まれています)」とアドバイスしており、制作陣が意図的に多数のオマージュを配置していることが分かります。
ファンの間でよく話題になるオマージュの例
SNS上での投稿や各種映画メディアの分析を見ると、特に話題になりやすいオマージュがいくつかあります。
レミー(レミーのおいしいレストラン):
最も発見しやすく、制作陣もインタビューで言及しているため話題になりやすいオマージュです。
ラプンツェル:
フライパンでの攻撃シーンが印象的で、監督が詳細を語っているオマージュです。
シャイニング:
雪の迷路シーンが話題で、Varietyでの監督インタビューでも詳しく語られています。
【発見場面別】制作陣言及のディズニー映画オマージュ解説
ここからは、監督やスタッフがインタビューで言及した、または複数の信頼できる映画メディアで確認されたオマージュを中心に、具体的な場面と発見方法を詳しく解説していきます。
レミー(レミーのおいしいレストラン)のオマージュシーン
最も話題になったオマージュが、『レミーのおいしいレストラン』への完璧なパロディシーンです。
キッチン追跡シーンでの制作陣こだわりの演出
Good Housekeepingによると、ジュディとニックがゲイリーを追跡するガラパーティーのキッチンシーンで、ライオンのシェフの帽子が飛んでしまい、中から小さなネズミが髪の毛を引っ張って操っている姿が露呈します。
この場面について、監督のジャレド・ブッシュは同メディアで「In that moment, you hear the music from Ratatouille, which was composed by Michael Giacchino, who is our composer. The accordion you hear, he literally played it himself. The animator who animated that scene animated Ratatouille(その瞬間には、我々の作曲者でもあるマイケル・ジャッキーノが作曲した『レミー』の音楽が流れる。アコーディオンは彼が自ら演奏し、このシーンを担当したアニメーターは『レミー』も手がけた)」と詳細を説明しています。
さらに興味深いのは、このネズミを発見して叫ぶのがアライグマのシェフという点です。これは『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の「ラッカクーニ」(レミーのパロディ)への二重オマージュにもなっており、同作でアカデミー賞を受賞したキー・ホイ・クァンが『ズートピア2』でゲイリー役を演じていることとも関連しています。
ラプンツェルのオマージュシーン
『塔の上のラプンツェル』のオマージュについて、制作陣が具体的に言及している内容があります。
フライパン攻撃の音響へのこだわり
Good Housekeepingでは、「Nick hits Gary in the head with a frying pan—where have we seen that move before? The directors admit it’s Rapunzel’s weapon of choice from Tangled(ニックがガリーの頭をフライパンで殴る—どこかで見た動きですね?監督たちはラプンツェルの得意技だと認めています)」と記載されています。
さらにWatchMojoでは、「According to co-director Jared Bush, the frying pan isn’t just modeled after the one that Rapunzel used. It’s the same sound effect as well(共同監督ジャレド・ブッシュによると、フライパンはラプンツェルが使ったものを模しているだけでなく、同じ音響効果も使用している)」と、より詳細な監督発言が紹介されています。
TV Tropesでは、「Byron Howard even confirmed at the 15th Anniversary special showing of Tangled at the El Capitan Theater in Hollywood that this is the same frying pan that Rapunzel is using(バイロン・ハワードはハリウッドのエル・キャピタン・シアターでの『塔の上のラプンツェル』15周年記念上映で、これがラプンツェルが使っているのと同じフライパンであることを確認した)」との情報もあります。
わんわん物語のオマージュ
音楽面でのオマージュについても制作陣が語っています。
ベッラ・ノッテの選択理由
Good Housekeepingによると、ラスがニックとジュディを乗せて爬虫類の隠れ家に向かうシーンで歌われているのは、『わんわん物語』の名曲「ベッラ・ノッテ」です。
共同監督のバイロン・ハワードはLaughing Placeで「There’s something so iconic about that song, about romance and partnership. Whether you want it or not, at the exact wrong time, when you’re riding on a walrus, that’s the song you want to hear(あの歌にはロマンスとパートナーシップを象徴する何かがある。望むと望まざるとにかかわらず、ワルラスに乗っているという全く間違ったタイミングで聞きたい歌なんです)」とコメントしており、意図的な選択であることが分かります。
話題のホラー映画オマージュ
『ズートピア2』で特に映画メディアの注目を集めているのが、ファミリー映画にも関わらず登場するホラー映画へのオマージュです。
シャイニングのオマージュ
Varietyでの監督インタビューで詳しく語られた、大胆なオマージュです。
雪の迷路制作の困難さと音楽へのこだわり
パウバート・リンクスリー(アンディ・サンバーグ)がジュディとガリーを裏切った後の追跡シーンで、『シャイニング』のオーバールック・ホテルの迷路と同じ構造の雪の迷路が登場します。
Varietyによると、監督のジャレド・ブッシュは「They have to rig [the animation] to be destroyed. It’s not like you can destroy anything you like. All of the destruction also has to be built into the design(アニメーションは破壊されるように設計しなければならない。好きなように破壊できるわけではない。すべての破壊もデザインに組み込む必要がある)」と制作の困難さを語っています。
音楽面では、「He took that theme which is so famous, and the second you hear it, you know exactly where you’re at(あの有名なテーマを使い、聞いた瞬間にどこにいるかが分かる)」と、作曲家マイケル・ジャッキーノが『シャイニング』のテーマを効果的に活用したことを説明しています。
さらに興味深いエピソードとして、このシーンを担当したのがスタジオ屈指の『シャイニング』ファンだったディズニーアニメーターのルアイェ・ムライエスで、担当決定の日に『シャイニング』のTシャツを着て現れ「このショットを僕にやらせてください」と直談判したというエピソードも紹介されています。
羊たちの沈黙のオマージュ
同じくVarietyで明かされた『羊たちの沈黙』への大胆なオマージュです。
4分間シーンのカット判断
ニックとジュディが監獄を走り抜ける際、前作の悪役ベルウェザー(ジェニー・スレイト)が防弾ガラスで囲まれた独房に収監されている姿が登場します。これは『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターの監獄シーンを再現したもので、ベルウェザーが羊であることとの言葉遊びも込められています。
Varietyによると、「That scene used to be four minutes long(そのシーンは以前は4分間だった)」と監督が明かしており、当初はより長いオマージュシーンが検討されていたことが分かります。
背景に隠された数多くのディズニーオマージュ
制作陣のアドバイス通り、背景の看板や小道具に隠されたオマージュも豊富に用意されています。
マーシュマーケットのディズニーパーク風演出
複数の映画メディアで確認されている、マーシュマーケットでのディズニー作品オマージュがあります。
確認されたディズニー作品への看板オマージュ
Good Housekeepingでは、「There’s a shop called Ariel’s Grotto, like in The Little Mermaid, next to one for Hook’s Bait and Tackle, like Peter Pan(リトル・マーメイドのアリエルの洞窟のような店や、ピーターパンのフックの釣具店がある)」と記載されています。
WatchMojo、Laughing Place、WithAshleyandCoなど複数のソースでも同様の看板が確認されており、Hook’s Bait & Tackle(ピーターパンのフック船長)とAriel’s Grotto(リトル・マーメイドのアリエル)の看板は確実に存在することが分かります。
さらに、複数のソースでMr. Toad’s(トード氏)の看板も確認されており、マーシュマーケットがまさに「ディズニーのテーマパークを歩いているような」演出となっていることが分かります。
その他の確認されたオマージュ
複数ソースで確認されているその他のオマージュ:
| 作品名 | オマージュ内容 | 主要情報源 |
|---|---|---|
| ファインディング・ニモ | 「Fish are friends」の逆転版「Fish are food」の看板 | WithAshleyandCo |
| バグズ・ライフ | 「Crush the Bugs」のIT部門ポスター | Good Housekeeping |
| ベイブ | 「That’ll do, pig」の台詞 | Good Housekeeping |
ファンによって発見されたその他のオマージュ
制作陣が公式に言及していないものの、ファンによって発見され、複数のソースで報告されているオマージュもあります。
アナと雪の女王関連の報告
個人ブログなどで報告されているアナ雪関連のオマージュがいくつか確認されています。
ニブルズのノックリズム
ビーバーのニブルズがドアをノックするリズムが、『アナと雪の女王』の名曲「雪だるまつくろう」のリズムと同じだという発見報告があります。これは音楽に詳しいファンによる指摘として複数のブログで言及されています。
悪役の正体判明シーン
悪役の正体が明かされるシーンで外が吹雪いている演出が、『アナと雪の女王』のハンス王子の正体が暴かれる場面と似ているという指摘もファンの間で話題になっています。
オマージュを見つけるための鑑賞ポイント
これほど多くのオマージュが仕込まれている『ズートピア2』を楽しむためには、効果的な鑑賞方法を知っておくことが重要です。
制作陣のアドバイスに基づく鑑賞方法
ストーリー責任者キャリー・リャオのアドバイス:
Coming Soonで「Pay attention to a lot of the signage(看板に特に注目してください)」とアドバイスしています。
効果的な発見方法:
- 1回目:ストーリーに集中してまずは物語を楽しむ
- 2回目以降:オマージュ探しモードで細部に注目
- 背景の看板や建物を詳しく観察
- 音楽や効果音に耳を澄ませる
- キャラクターの動作や小道具をチェック
特に注目すべき場面:
- ガラパーティーのキッチンシーン(レミーのオマージュ)
- マーシュマーケットのシーン(ディズニー作品の看板群)
- 雪の迷路シーン(シャイニングのオマージュ)
- 監獄のシーン(羊たちの沈黙のオマージュ)
なぜ一度では見つけられないのか
オマージュが見つけにくい要素:
- ストーリーへの集中:初回鑑賞では物語に夢中になってしまう
- 瞬間的な演出:多くのオマージュが一瞬だけ映る
- 背景への配置:主要なアクションから外れた場所に隠されている
- 音響効果:音楽や効果音のオマージュは気づきにくい
- 複合的な仕掛け:複数の作品要素が組み合わされている
まとめ
『ズートピア2』に隠されたディズニーオマージュは、制作陣の愛に満ちた芸術作品と言えるでしょう。共同監督ジャレド・ブッシュがGood Housekeepingで明かした「800のアイデアから厳選した」というオマージュは、決して誇張ではなく、実際に数え切れないほどの愛に満ちたパロディが散りばめられています。
制作陣がインタビューで言及したオマージュからファンによる発見報告まで、レベル別に楽しめるのが『ズートピア2』の大きな魅力です。ラプンツェルのフライパンシーン、レミーの完璧なキッチンシーン、シャイニングの雪の迷路、マーシュマーケットのディズニーパーク風看板など、一度の鑑賞では絶対に見つけられない宝探しのような楽しさがあります。
制作陣のアドバイスにもあるように、特に背景の看板や音響効果に注目することで、新しいオマージュを発見できる可能性があります。「映画は一度観れば十分」という方も、『ズートピア2』については複数回の鑑賞を強くおすすめします。
ぜひ、この記事を参考にして、あなただけのオマージュ発見の旅を楽しんでください。監督たちが「800のアイデアから厳選した」というオマージュの世界で、まだ誰も気づいていない隠された宝物を見つけることができるかもしれませんよ!
参考文献・引用元:
- Good Housekeeping – 48 Easter Eggs and Pop Culture References in ‘Zootopia 2’
- Variety – Zootopia 2 Directors on Easter Eggs for The Shining, Silence of Lambs
- Coming Soon – Zootopia 2: Easter Eggs, New Faces, and Secrets
- WatchMojo – Top 10 Easter Eggs Hidden in Zootopia 2
- Laughing Place – All Zootopia 2 Easter Eggs and Disney References
- WithAshleyandCo – All The Zootopia 2 Easter Eggs You May Have Missed
![ズートピア2 ディズニーゴールド絵本 [ 講談社 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/1247/9784065411247_1_7.jpg?_ex=128x128)
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